ここ数年、あらゆるところで「推し活」という言葉を耳にするようになりました。 
「推し活」は2021年の新語・流行語にノミネートされた言葉ですが、それ以前からアイドルグループのファンが、グループ内のイチオシのメンバーを「推し」と表現し、そのメンバーを熱心に応援する活動を「推し活」と呼んでいました。アイドルグループの人気が出てきたころから一般的にも「推し」や「推し活」という言葉が徐々に広がってきたと言われています（このあたりは諸説あるようです）。 

いまやアイドルに限らず、スポーツ、アニメ、ゲーム、マンガ、音楽、作家、建築物等・・あらゆる分野で推し活が繰り広げられ、推し活を楽しむ人向けの商品やサービスも増えていたり、アニメの舞台や映画の撮影が行われた場所が「聖地巡礼」として観光資源の一つになっていたり、その経済効果も非常に大きいと考えられます。 

一心理士である私は、子どもの頃からアイドルやスポーツチームなど何かを熱心に応援したことはなかったのですが、数年前たまたまあるアーティストのライブへ行ったことをきっかけに、推し活が始まりました。それからはライブのために地方へ足を運んだり、DVDやグッズを集めて飾ったり、SNSやライブを通してファンのコミュニティに参加したり・・普段よりもアクティブな自分に、自分でも驚くことがあります。 

自分には推しはいない、何かを熱心に応援したことはない、という方もいらっしゃると思います。 推しは無理に作るものではありませんから、もちろん推しがいなくてもいいのです。 
一方で、推しによって日々の疲れが癒されたり、大変な仕事があっても「この仕事が終わったらあのグッズを買おう！」等とごほうびにしてやる気を出したり、新しい友達やコミュニティができたりとポジティブな影響もあると考えられます。 
メンタル面でも、落ち込んだ時に推しの映像を観て笑顔を取り戻す、緊張や不安が伴う場面で推しを思い出して落ち着く、等の影響があるようです。 
「推し活で人生にハリが出てきた」とか、推し活仲間のコミュニティが仕事・家庭以外の「自分の居場所」になっているとか、シンプルに好きなものを語ることに楽しさを感じるという方もいらっしゃいます。 

今回は、推し活のきっかけになる行動についてお話してみようと思います。今、推し活を楽しんでいる方は自分の推し活のきっかけを思い出しながら、そして推し活をしていない方は色々とご自身の周りや思い出を振り返りながら、読んでいただけると嬉しいです。 

まず、家族や友人、同僚など身近な人にその人の推しを聞いてみるのは手軽な方法でしょう。相手が推し活をしている場合、その人が推しにハマったきっかけや、どんなところが好きなのかを熱く語りだす可能性があるので、あなたの気持ちや時間に余裕があり、相手の熱い語りを受け止められるタイミングを選んでくださいね。その人の語る推しに興味を持ったら、映像や音楽等のコンテンツを一緒に楽しんでみるのも良いかもしれません。 

子どもの頃に好きだったアニメやキャラクターを振り返ったり、青春時代によく聴いた音楽や好きだった映画、感動したドラマ等に改めて触れるのもお勧めです。好きだったものに再会すると、自分が好きなものが何年経っても変わらないことに気づいたり、逆に年月を経て変化した自分を発見したり、新鮮な体験ができるかもしれません。懐かしいアニメや映画、ドラマ、音楽等は、旧友との再会のようにあなたの心を温めてくれるのではないでしょうか。 

【コラム】趣味をひらくでも書いていたように、触れていて気持ちが明るくなるものや元気になるもの、ほっとできるものは日々のストレス軽減や気分転換にも大切な役割を果たします。新年度で環境や生活が変わる方も、そうでない方も、新しいセルフケアやストレス対処の一つとして推し活を考えてみるのはいかがでしょうか。すでに推し活をしている方は、これからも自分のペースで楽しんでいきましょうね！ 

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