2024年も残すところあとわずか。皆様にとってどのような1年だったでしょうか。多くの方が衝撃を受けた1月1日の能登半島地震、2日の旅客機事故。2024年は凄惨な出来事からの幕開けとなりました。その後の豪雨災害の影響もあり、復興にはまだ時間を要します。改めて被災された皆さまにお見舞い申し上げます。一方で、オリンピックで日本が世界第3位のメダル数を獲得したり(国内では自国開催を除き過去最多!)、大谷選手が米大リーグ史上初のシーズン50本塁打-50盗塁を達成したりと、気持ちが明るくなるニュースもありました。
ではなぜ、私たちはこのように暗いニュースを見ては不安や怒りを感じ、明るいニュースを見ては楽しくなったり元気が出たりするのでしょうか。これには“ミラーニューロン”という脳神経の働きが関与しているといわれています。この神経が刺激されることにより、私たちは自分が経験していないことでもあたかも経験したかのように感じる、つまり他者に共感できるようになるのです。みなさまにも経験があると思いますが、例えば…
上司から大声で怒鳴られている社員がいる。その光景を見た同僚は「皆の前で怒られていてかわいそう」「わざとじゃないんだからあんなに怒らなくてもいいのに」と考え、その人が戻ってきたら励ます、慰める、上司への愚痴を聞いてあげるなど行動した。するとその人は同僚に対し「気にかけてくれて嬉しいなぁ。自分も何かあったら声をかけてあげよう」と思い、二人の信頼関係がぐっと深まった。
このように共感という力は他者とコミュニケーションを取り社会的繋がりを強める上では欠かせないものです。一方で、こんな経験もあるでしょうか。
・職場の飲み会が立て続けにあり、初対面の人が多く気を遣う。飲み会は楽しいし仕事の話が聞けて勉強にもなるが、帰宅後の疲労感がすごい。
・友人が別の友人について愚痴を吐いている。最初は大変だったねと慰めていたが、だんだんと自分も腹が立ってきて一緒に悪口を言った。その後もしばらくイライラが続いた。
・ネットで炎上ニュースを見ていたらたくさんの誹謗中傷コメントがあった。最初は「酷いこと言うなぁ」と思うくらいだったが、ずっと読んでいたら悲しくなって気分が沈んできた。
これらは“共感疲れ“と呼ばれ、過剰に共感することで身体的あるいは精神的に疲弊してしまう現象です。みなさまも今年1年たくさんの人と関わり、たくさんの喜怒哀楽に共感してきたはずです。共感疲れは起きていませんか?
来年またスッキリした気持ちでたくさんの人とコミュニケーションが取れるように、年末年始のお休みを使って共感疲れをリセットしておきましょう。コツは、脳が活発になる体験は避けて“穏やか・リラックス・のんびり”を意識すること。例えば…
・1日オフラインで過ごす日を作る(刺激が溢れているインターネット、SNSを見ない)
・時間をかけてコーヒーを挽く、紅茶を入れる、アロマディフューザーやお香を焚く(目を閉じて匂いだけを感じてみる)
・十分な睡眠と栄養を摂る(連休だからといって夜更かし、暴飲暴食はしない)
・旅行に行くなら繁華街ではなく自然のある観光地へ(山登り、釣り、一人キャンプ、温泉)
・動物と触れ合う(ペット、動物園、動物カフェ)
・お寺や神社参り(人の多い場所や時間帯は避ける)
せっかくの年末年始。特別な過ごし方を予定している人も多いでしょう。その時間はめいっぱい楽しみつつも、どこか1、2日だけでもこのような時間を設けてみてはいかがでしょうか。
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