落ち込んだとき、悲しみに沈んでいるとき、あるいは怒りで心が震えているとき。
私たちは、まるでその感情の渦の中に飲み込まれたかのように感じ、「今、自分はこの気持ちそのものだ」と思い込んでしまいがちです。ですが、その状態に永遠に留まり続ける必要はないのかもしれません。
たとえば赤ちゃんが泣いているとき、大人がぬいぐるみを見せたり、「ほら、あっちに何かあるよ」と視線を誘導したりすると、意外とすぐに泣き止むことがあります。これは感情を否定するのではなく、ちょっとだけ“気をそらす”という、ごく自然な営みです。
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この「気をそらす力」、私は「ごまかし力」と呼んでいます。
ネガティブな感情に包まれたとき、そのまま真正面から受け止めすぎず、少しだけ違う方に意識を向けてみる。
その力があるだけで、人生の苦しさは随分と軽くなるのではないかと感じています。
心理学では「気分一致効果」という概念があります。
これは、人は自分が今感じている気分に合った記憶や情報を選びやすくなる、というものです。
たとえば、落ち込んでいるときには過去の悲しい記憶ばかりが思い出され、怒っているときには怒りを助長するような情報ばかりが目につく。
だからこそ、あえて自分の意識をズラす工夫、「ごまかし力」が大切になってくるのです。
たとえば、「とにかく今日は寝てしまう」という選択も、立派なごまかし力のひとつです。
睡眠は思考を一度リセットし、心を少しずつクールダウンさせてくれます。
あるいは、お気に入りの香りを嗅ぐ、好きな音楽を聴く、美味しいものを食べる、静かな場所で深呼吸する——どれも立派な“ごまかし”です。
「ごまかす」というと、どこかネガティブに聞こえるかもしれません。
しかし、ここでいうごまかし力とは、「自分の感情を否定すること」ではなく、「感情に飲み込まれすぎないよう、少しだけ視点を変えること」。
これは決して弱さではなく、自分を守るための大切なセルフケアです。
もちろん、感情と向き合うことが必要な場面もあるでしょう。
でも、ときには真正面からぶつかるのではなく、少し角度を変えてみることも、自分を大切にする方法のひとつだと思います。
心がざわつく日々のなかで、ほんの少しでもこの「ごまかし力」が、あなた自身を守るひとつの知恵になりますように。
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