4月のこのコラムでは、読書は「心の栄養になる」ということをお伝えしました(読書の効用)。
それでは、読書の良い効果を得る為には、どのような時にどのような本を読めば良いのでしょうか。
例えば、ある困難に遭遇して悩んでいるとします。
その様な時、具体的なやり方が知りたいという場合と、困難にめげてすぐに挫けてしまう自分を何とかしたいという場合では、選ぶ本は違ってきます。
具体的なやり方についてはハウツー物と言われる実用書、入門書、手引書などを読むことで解決することができるかもしれません。しかし、挫けやすい自分についてはそれだけで解決することはできません。
さらに、その人の性格や好みもあり、困難に遭遇したという状況であっても人によって選ぶ本は違ってくるでしょう。
読書の効果を得る為には、自分に合っているかどうか、つまり、自分が置かれている状況、求めているものや自分の個性に合っているかどうかが大切になってきます。
そうは言っても一般的に言えることもあります。
気持ちが疲れている時に選ぶのであれば、残酷な話は避けた方が良いと言われています。また、落ち込んでいる時には人と比較しがちになるため、立派な人の事が書かれているものは逆効果になる可能性があり、失敗談の方が気持ちは楽になるとも言われています。
また、暗めの内容から読み始めて少しずつ明るい内容へ変えていくということも、回復を助ける一つのやり方だそうです。或いは、現状と全く関係の無い本を読むということも、考え続けて疲れた脳を休める為には有効でしょう。
心が迷って落ち着かない時は詩集や、格言、名言などの金言集もお勧めです。一つの言葉が心に響くと、それは一服の清涼剤の様にすがすがしい気持ちにさせてくれるものです。
しかし、あまりにも気力が落ちている時は、読むと言うよりは眺めているだけでも癒されるような綺麗な本が良いのではないでしょうか。
例えば美しい自然の写真集や画集などがお勧めです。絵本などは目にも良く、内容は心に沁みるものが多いように思います。その様な書物のページをゆっくりめくることで、急ぎ過ぎていた日々の自分に気づくことができるかもしれません。文字だけではないという点では漫画本も良い効果を与えてくれると言われています。そもそも、沢山の文字を読むことに抵抗を感じるのであれば、ショートショートや掌編小説のような短い内容のものもあり、読書への抵抗を減らすことができるでしょう。
読書療法では何としても最後まで読み通そうとするのではなく、無理をせず途中で止めることも勧めています。逆にお気に入りの本は何度でも読めば良いのです。
読書は自分に合ったものを、自分のペースで、好きなだけ読むということで効果が得やすくなると言えます。因みに私は心を満たしたい時には内容以前に、装丁やタイトルの気に入ったものを選ぶことがあります。本を手に取るだけでフワッと気持ちが和みます。
良書との出会いは心に栄養を与えて生活に張りをもたらしてくれますが、本との出会い方は様々です。ブックガイドの類を読むことや友人からのお勧めも考えられます。また、昨今、増えてきた大型書店には椅子が置いてある所や喫茶店が併設されている所などもあるので、疲れない程度に休憩を取りながら、ゆったりと、本の森を散策してみるのも良いかもしれません。
本は言葉の持つ力が最大限に発揮されているものです。読書に親しみその力の助けを借り、こころに栄養を摂り込んで、生活を豊かにすることやご自身の成長に役立てては如何でしょうか。
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