去年の秋、このコラムでも紹介したモフモフ(犬)の効果は、心の健康だけでなく、体の健康にも良いようです。
最近こんなエピソードがありました。私が脳内でオキシトシン(通称・幸せホルモン)を分泌させながら犬と散歩をしていると、いつも近所を散歩している85歳のおばあちゃんと会いました。「私も犬を飼っていたんだよ、とても良かったと思っている。足腰弱ったらもう終わり、みんな施設に入って、コロナで家族友達とも会えなくなってしまうんだよ。習慣って大事よね。」私は、このおばあちゃんが、10年前は犬3匹と散歩をしていたことを思い出しました。
犬を飼うと本当に足腰が弱らないのでしょうか?
みなさんは「フレイル」という概念をご存じですか?健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間の状態をさすものです。人は誰しも、老化によって身体機能が衰えていき、「フレイル」を経て介護状態へ進むと考えられています。ちなみに、個人差が大きいため、同じ年齢でも全く違う様相を呈することが多いです。
フレイルの状態になるとメンタル面にも影響があります。
じつは活動量や歩行機能、筋力の低下が、「認知機能」の低下とも関係しているという研究結果がでているんです。つまりフレイルの状態は、認知機能の低下、つまり認知症の発症リスクを高めてしまう可能性があるということです。
また身体機能の低下は、社会活動への参加を妨害したり、制限したりする原因になるため、孤独感や孤立感を抱えるきっかけにもなります。社会からの孤立感は、不安や抑うつ等のメンタル不調を起こすことがあります。
こういった、フレイルの精神・心理面に現れる症状は、精神・心理的フレイルと呼ばれています。
先ほどのおばあちゃんの言う「足腰が弱る」を「フレイル」にあてはめて考えてみましょう。実は、犬の飼育とフレイル発症の関係について、とある地域の65歳以上の住民が2年間追跡されています。すると、犬の飼育経験がない人のフレイル発症のリスクを1とすると、現在飼育している人は0.81、以前飼育した事がある人は0.82と低くなっていました。数字が低い=フレイル発症が少ないことを意味しているので、犬の飼育がフレイル予防に効果があることを示しています。衝撃的なのは、現在飼育しているだけではなく、かつて飼育していたことがある場合もフレイル予防に効果があることです。犬との生活が運動習慣をもたらし、心身の不調や機能低下を予防し、介護予防の機会になっていたのかもしれません。
犬との生活が今の心の健康を保つ機会だけでなく、体の健康を保つ機会になり、それは今だけでなく自分の将来の健康につながるというお話でした。
<過去のコラム紹介> モフモフをみて幸せホルモンを補充しよう(2021年9月)
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